きみをくん/umineko
 
 そんなんいやや
 入れ代わり立ち代わり
 きみの説得に訪れる
 大人たちの嘆きをよそに

 そんなんいやや
 そりゃそうだろう
 もうサッカーは出来なくなる
 自転車だって駄目だろう
 なにより
 校庭を無尽に駆け回る
 それが
 特権ではなかったか

 でも
 きみの足は もう

 白衣を翻し
 立ち去る靴音に
 深々と頭を下げる母親
 申し訳ありません
 明日には
 ええ
 かならず
 やはり
 ショックなんだと思います
 でも
 そうするしかないのなら
 そうするしかないのだったら

 きみを くん?
 喧噪の去った夕暮れの病室
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