雨雲に覆われた地球/はじめ
 
 世界中では雨が降っている
 誰も天気予報を必要としない
 毎日人々は傘を持って外出している
 飛行機なんてない世界だから誰も雲の上に出たことがない
 雲の上には神様の国が存在していると信じられている
 神様が地上に雨を降らせていると言われている
 作物は雨だけで育つ
 人々は太陽というものを知らない
 というより太陽はこの世界には存在しない
 僕は干し草の中で眠っている
 干し草は嗅いだことのない太陽の匂いがする
 午前中に外を見 耳を澄ませてみると
 細かく千切れた雨がさぁーーぁと降っている
 僕は女の子を待っている
 あの木の下に現れてくれないかな
 僕と君だけ
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