雨雲に覆われた地球/はじめ
世界中では雨が降っている
誰も天気予報を必要としない
毎日人々は傘を持って外出している
飛行機なんてない世界だから誰も雲の上に出たことがない
雲の上には神様の国が存在していると信じられている
神様が地上に雨を降らせていると言われている
作物は雨だけで育つ
人々は太陽というものを知らない
というより太陽はこの世界には存在しない
僕は干し草の中で眠っている
干し草は嗅いだことのない太陽の匂いがする
午前中に外を見 耳を澄ませてみると
細かく千切れた雨がさぁーーぁと降っている
僕は女の子を待っている
あの木の下に現れてくれないかな
僕と君だけ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)