わが実験艦シュレスヴィッヒ・ホルスタイン/大村 浩一
 
牛屋は牛食わず、とか
わけの分からないことを口走りながら、
牛に呼び掛ける詩を書いたことがある。
「ホルスタイン。
 詩を書きたい。
 ずぶ濡れのお前に向かって。」なんて、
決心にしては妙にまとまりの良かった詩。
あれから8年近くたつけど、このごろ驚くのは
詩が仕事に見えて仕方が無いってことだ。
詩が窮屈で仕方が無いなんてどこかおかしいじゃないか。
そんなところからは詩はひっきり無しに漏れ出ていくはずだ。
(漏れている、詩が漏れているっっ)
詩で動く推論エンジンの放射能で
チェックカードは朱(あけ)に染まりおり。
いまごろ気づいてももう遅い。
(動いていやがるよこの船
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