夏休みの恋人/チアーヌ
 
赤い煉瓦で出来た
縦横無尽な通路を
あなたと手を繋いで歩く
空は青くて
遠くて
でも
どこからが空なんだろうと
ふと思った
あなたは背が高くて
背の高い男の人と
あまり付き合ったことが無かったわたしは
首が凝る理由に気がつくのに
しばらく時間がかかった
白い建物が
ランダムに配置された空間は
まるで廃墟のよう
大学の夏休み
人口密度の薄い空間は
しんとして声もなく
普段だったら
人で溢れかえっているような
カフェテラスにも
人っ子一人いない
だから
腰掛けた
テーブルの上で
両手を握り合って
時間を忘れるほど
キスをして
気がつくと
空が翳っていた
赤い煉瓦の通路の奥には
白い大きな建物があって
そこの一室の鍵を
彼は持っている
その部屋の鍵を持っている人は
5人いるそうだけど
今夜はたぶん
誰も来ないから
わたしたち
遊んで帰ります
夏休みだから
いろんな実験しなくちゃね
秋になったらお互いの相手が
戻って来ちゃうから

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