落ち葉と穴/はじめ
落ち葉を踏むと乾いた音がした
大学前の並木道で
風の妖精が僕の脇を通って落ち葉を舞い上がらせる
風は後ろの景色に飲み込まれていく
夜だったら並木道はライトアップされて綺麗なのに
闇に飲み込まれる風に巻き付いた落ち葉
まるで落ち葉の絨毯だ
踏んづけたり蹴ったりしてアスファルトを露わにする
アスファルトは湿っていて黒くなっている
それを見てカブトムシの幼虫を発見したような気分になった
雲が空一帯を覆っている
人々は何の感情も抱いていないかのように落ち葉の絨毯の上を歩いている
僕は黙々と足で落ち葉の絨毯に穴を空けさらに大きくしようとしている
特に理由
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