食卓/霜天
 
の外に繋がっていく景色の一つひとつ。
逃げていく線の一つひとつに君と、同じだけの君が乗り込んで。
その一つひとつにレモンを添えていく、毎日の朝食に。
その香りが良いらしい、絞りたての天まで届きそうな。



 ブレーキは届かずにいつも同じ分だけ悩まさ
 れている。忘れていたことを思い出すと、そ
 のお返しに押し寄せる一日が明日の混ざらな
 い部分を隠して。部屋につけた凸凹を隠そう
 ともしないで、段ボール箱の都合のいい角度
 を。折れ曲がる姿を誰かのせいにして。いつ
 も触れない一つひとつ、カーブに沿って消え
 ていく。食卓の向こうで、世界は。



一つひとつ。
あなたという可能性の一つひとつ。
なので朝食には選ばれました。
細い腕に、細い腕に、
染み渡るように。
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