「現実の世界」と「物語の世界」/相良ゆう
「読む」とか「走る」という「名前」があり、
状態にも「静か」とか「うるさい」という「名前」があることを知る頃には、
わたしたちは「現実の世界」よりも「物語の世界」に住処を移したかのように、「物語の世界」に浸っています。
こうして「現実の世界」を基に「物語の世界」は確立されました。
実は言葉をつかうこと自体が、物語の世界に生きるということなのです。
わたしたちはもうすっかり「物語の世界」に浸り、
「現実の世界」を忘れてしまっているかのようです。
それは現在使われている「名前」の多さを見てもわかることでしょう。
しかしわたしたちは同時に「現実の世界」にも生きています。
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