暮れていく街角で/霜天
 
色々と大袈裟に語られることが多いから
一つを信じるにも力が必要で
惑わされないように見ないように
うつむきながら加速していく

こんな時代を
ゆっくりと流れていくのは
夕暮れくらいなのかもしれない


積み木みたいな街の隙間
西日に染められて
少しは綺麗に見える
人が溜まっていくスクランブル交差点
空を見る人は誰もいない

昨日の空のかたちを
答えられる人はいるだろうか
私だって遠くから見れば
人込みと同じ顔をしてるんだろう


順応 適応 流される
そんな言葉とは少し違う


そして私達は
何かを見るわけでもなく顔を上げ
歩行者用信号機の奏でる
間の抜けたメロディーを聞きながら
一つ一つを渡っていく



きっと
忘れ物をしています
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