白衣の堕天使/Rin.
はいっしょにいちゃだめなんだよ、と
棚から無意識に取り出した500?ビーカーの
半ばくらいのメモリまで、私は涙をためてゆく
そこにあなたのが一滴、混ざり合ったけれど
何も反応を起こさなかった
同じ理由から生まれた雫だから、
でありますようにと
サイゴに祈るために目を閉じようとすると
あなたのいつになく哀しそうな
でもやはりあやふやな瞳と合った
そこにはあなたを堕とした宇宙が映っていた
あなたはそれくらい暗く、深く息を吸い込んで
私を小指くらいの大きさに押しつぶすと
ビーカー中に浸してしまった
私は私の一部のなかで
私はあのしなやかな指によって
いま、私の世界
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