水/ぽえむ君
水は自由だった
形はなく
その場所がその形だった
自らの意志で
動くことができなかったが
絶えずすべてが動いているので
別に苦ではなかった
暑くなれば
空に浮くこともできた
のんびりと
海を渡り
山を越え
遠くまで
風に任せればよかった
涼しくなる頃
水は光と葉が
一つの色ではないことを知った
同時に
自分には色がないことを
辛く思った
寒くなり
水は動けなくなっていった
そして白い塊となった
動けるのは
わずか一滴ばかりの
雫とわかった
水は自分が
とても小さいことを
初めて知った
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