坂の上の景色/もる
坂の上の夜。
自転車をとめて、白い息を吐いて、
マンションの淵に座り込む。
星も月もない、曇り空。けど
20分おきにホタルの列が、右から左へ、視界を横切る。
なんて美しい例え話!!
受話器越しの君に、伝えようか、どうしようか、
悩んでやめて、結局胸にとどめておく。
君との会話。とぎれることなく、
僕はそれを、目だけでずっと見つめていた。
朝になって、目に映るのは高架線。
昨日のホタルが、ガタンゴトン、ガタンゴトン、
さぁ君に会いに行こう、あの電車へ乗り込もう。
坂の上の朝。
自転車に乗って、風を感じて滑り降りて
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