フレット、煙草/nm6
スライド、スライドしていく音階に、立ち止まるための目印はない。ギター、弦の上を滑ってゆくぼくらの、とめどないものを抑制する旅。そしてタブ、タブ譜を読むためのフレット、フレット。区切りをつけて、数を数えて、そうしてひとつひとつ越えていく。か、か、可能性としての上々だ。しりとりのことばが飛び越える想いの、知らないその先は終わらないようで、いつかは区切る。フレット、フレット。刻まれるリズムにしみわたるように。
「寄る夜に拠る、ヨルヨ、る、るるーる。選る因る夜。」
夜になると思い出す魔法だ。
スマート、スマートに演じるための小道具。日々を演じながらころげて、それでも些細なことを蒸し返
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