置き去りのリップが僕を宥めるから/時雨
 
「いらいらしてんな。」
そう言ったのは友達。
「今日一緒に帰れない。」
そう言ったのはキミ。



鞄をベッドに投げつけるように置いて、
一人きりの部屋にうずくまる僕。

別に気にしてる訳じゃない。

今日の帰り道キミを見た。
僕ではない誰かと歩くキミ。
女の子の友達でも無かったし、僕の知ってる奴でもなかった。

そう、『誰』か。


別に気にしてる訳じゃない。

いらいらしてるのは、テストの点数のせいであり、
へこんでるのも、テストの点数のせいであり。


モヤモヤするのも全部。



別に気にしてる訳じゃない。

鳴らないケータイを
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