★63 プレゼント/貴水 水海
僕は
非常階段から夜空を見上げる
星を見つけようと思うけど
月を見つめようと思うけど
君の顔が浮かんで消えない
僕が寂しさと引き換えにしたのは
君と居た時だった
僕が虚しさと引き換えにしたのは
君と居る事だった
僕を受け入れてくれた君の優しさは
ある日突然
君と僕の心の痛みに変わった
君は僕を重荷に感じ出したんだね
それでも
別れの言葉は切り出せなかった
巡り合い
庇い合ったけど
僕達は
別れ合った
僕が口にした「サヨナラ」は
君への最後のプレゼントだよ
僕にとって
一番無理したプレゼントだよ
そう
一番無理したプレゼントだよ
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