サヨナラは突然に/ゼロスケ
 
ある日 月の裏から サヨナラが やってきた
安らかな 眠りの外から やってきた
サヨナラは 全ての音を 持って行き この部屋は 冷たい光に 沈んだ
独りですごすには広いから 一人で笑うには暗いから

今は 肋骨の内側へ サヨナラが 這入(はい)りこむ
熱い色して 切っ先そろえて 這入(はい)りこむ
全ての価値を 灰へ埋め 水曜に生ゴミも出さないまま 腐っていく 腐っていく
腐っていく 独りで

彼女はサヨナラによって
起きて半畳寝て一畳 なんて 言うけれど
十五寸ほどの箱になった 緑の骨になっちゃった

煙になっちゃった 一筋の煙になっちゃった
緑の骨になっちゃった さびた鉄の臭いがした
サヨナラが顔を赤くして 残酷に笑った
戻る   Point(3)