夕日の光/はじめ
 
 夕日の光が部屋に差し込んできて部屋はセピア色に包まれた
 僕と君はそれぞれ向かい合って日に焼けた椅子に座り 両手を組んでいる
 何か話をしようか 僕は色々なことを考える
 君の時間は残り少ない 君は少し俯いて笑っていた
 何を考えているのか私にはお見通しよ と君は呟いた
 僕は「ならこの今生きている時間が愛おしい」と言った
 僕は自分の左腕を見た ズキンと痛む左腕が僕を現実に引き戻した
 「あなたは病気なの。その左腕が痛むのは心の痛みと呼応しているからなの」
 と君は呟いた
 「君を失いたくないから心が痛むんだ」と僕は言った。
 左腕に痛みが走ると僕の視界は少しブレて君の姿が
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