セピア/もも うさぎ
を怖がらせた
きみの黒い髪を
もう二度と見られないと思うとつらかった
何かのフィルターを通したように
裏庭ではいつもみたく
鳩が羽を休めていた
悲しいの?
いや、そうじゃない
あなた、泣きそうな顔してる
きみも。
その雫だけが今も色を失っていなかった
僕のこころは揺さぶられ
届きもしない
濡れたまぶたに触れたくて
セピア色の両手をあらん限りの力で伸ばした
それは
静寂という名の 叫びに似ていた
僕は泣いた
それはどこまでも
この世界に 吸い込まれていった
〜セピア〜
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