セピア/もも うさぎ
目覚めたら
世界は セピア色だった
そこには セピア色のシーツと
セピア色の 僕のからだと
セピア色のテーブルと椅子
セピア色のコーヒー
セピア色の空には
夜の星屑がまだ 曖昧に瞬いて まだ少し残っていた
セピア色のカレンダーに
セピア色の書き込みが
月の途中まで書かれて止まっていた
セピア色のぬいぐるみは
少しうつむいてその背をまるめ 目を閉じていた
暗いのではなかった
時は眠るのでもなくて
ただすべてが古い
映画か写真の中に 息づいているようだった
セピア色の僕の髪は 僕を怖
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