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思い切り見られたが
それでも男はうまく隠れたつもりだった
子供と年寄りが通り過ぎ陽は高く
それから何も来なくなった
壊れたテレビがうず高く積み上げられた角の後ろ

本当は誰を待っているでもなかった
男にはふざけて海に飛び込んだ過去のひとつもあったし
ささやかな愛を背負っていたこともあったが
男にはそこにいる理由がなかった

やがて正午を告げるメロディが流れ
脚音もなくテレビみたいな雲が流れ
何ひとつつながらなかった

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