昨日の夕やけ/望月 ゆき
昨日の夕やけを
ぼくが持ち帰ってしまったことを思い出して
朝起きて、あわてふためいた
夕方までに返さなければ、
そう思いながらも
休日の時間の流れがぼくを誘惑する
珍しく
コーヒーを豆から入れてしまったり
ぼくだってなにも
何の思惑もなく
夕やけを持ち帰ったわけではない
だいだい色に塗りこめられた空を
見上げていたら
たしか、きみがミカンを好きだったことを
ふいに思い出しちゃったんだ
そしたら つい手が伸びて
気づいたらポッケの中さ
きみは喜ぶかしらん
夕方までに間に合うように
午後一番で
きみに会いに行こう
会って見せてあげよう
だいだい色のそれを
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