モラトリアム/朽木 裕
食べては吐いて、を何度となく繰り返す。それなのにどうして私は尚も食べ続けるのだろう。クリームサンドのクラッカー、ピーナッツチョコレート、苺ジャムのマシュマロにチェリーコーク。袋はどれもあいていて、中身はどれもなくなっていて。けれど胃の中にソレがあるかと云えば ない。 ないのだ。では何処にあるかと問われれば私は真っ直ぐに指をさすだろう。空虚な白いトイレの中。
東側にあるトイレには陽光が満ちていた。目を細めなければ前が見えなくなるような夥しい光の渦。しかし私は下を眺めていた。私から出た吐瀉物は渦を僅かに作り消えていく。
(あたしも 消えたい な、)
望む望まないとに関わらず明
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