石ころ/草野春心
静かな真昼の道端に
ぼくは黙ってころがったまま
小さな石ころのようです
三月の風がやって来て
ざわざわ気持ちをなでるのです
ほらブランコもゆれています
こんなふうにすべては繰り返してゆくのでしょうか
何一つ聴こえないのに
何一つ言うべきことは無いのに
この肌に感じるのは……詩?
変わらない空の青さも
思い出のあなたも
三月の風がやって来て
「まぶたを閉じて」とささやきます
何一つ見えない、というそのことだけが
やたらとやさしくて……
ぼくはまた涙ながすのです
静かな真昼の道端に
ぼくは一人でころがったまま
小さな石ころのようです
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