石ころ/草野春心
 


  静かな真昼の道端に
  ぼくは黙ってころがったまま
  小さな石ころのようです



  三月の風がやって来て
  ざわざわ気持ちをなでるのです
  ほらブランコもゆれています
  こんなふうにすべては繰り返してゆくのでしょうか



  何一つ聴こえないのに
  何一つ言うべきことは無いのに
  この肌に感じるのは……詩?
  変わらない空の青さも
  思い出のあなたも



  三月の風がやって来て
  「まぶたを閉じて」とささやきます
  何一つ見えない、というそのことだけが
  やたらとやさしくて……
  ぼくはまた涙ながすのです



  静かな真昼の道端に
  ぼくは一人でころがったまま
  小さな石ころのようです


戻る   Point(5)