再起動/狩心
闇が町を包む
一番目の朝だ
どう見ても夜だ
二番目の朝だ
晴れている朝だ
どう見ても星が輝く朝だ
握り締めた拳を開いてしまえば夜になる
だから拳は握り締めたままで
瞬きを拒否する眼球が空を赤く染める
毛細血管が脈打つ充血の夕焼けだ
心臓の鼓動も見える
いつの間にか月は太陽になり
太陽は心臓になっている
町中に張り巡らされた大腸の道を練り歩き
時に消化液の雨を浴びる
どう見ても体の中だ
火山のような海だ
巨大な胎児が高層ビルの代わりに立ち並び
荒波の如くうねっている
無抵抗な者たちを支配する音楽の響きだ
胎教が始まっている
水深が上昇しているのは
温暖化現
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