幸月夜/ウデラコウ
喧騒の中で 君は 何かを考え込むかのように
じっと虚空を見つめて
僕は 思わず その横顔に 息をのむ
まるで 君の全てが キセキのようで
僕は君のために買った チョコ菓子が
今の君には 酷く 不釣合いに見えて
そっと後ろ手に隠して 近づいたんだ。
まばゆい ライムライトから 少しだけ 離れて
君の傍で聴く メロディは スゥと 頭のてっぺんから
抜けていって
僕はずっと さっきの君が 見せた あの表情を
思い出していた。
そっと 頭を預ければ 優しく抱き返してくれる
その腕が 何よりも 愛しくて 愛しくて
僕は 君に 全てを 許してしまうんだ。
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