お題/風に乗る/茜井ことは
 


丸めた背中の向こう岸に
たまった呼吸の骸が たからもの
眠りはぬくもりに引きずられてくると
信じて布団にもぐりこむ
そんなあなたをここにおしこめたい



寝息の小川を
すい、と
ゆるやかな風がすべる
水面はあたしの真下でしか
揺れずに



ひとりきりで流されて




左手の小指だけが寒い
これはいらい損ねた現実だから
いつになっても
赤い糸は結ばれないままで
だからあなたの所に
たぐり寄せられることを
期待しながら眼をつむっている
いつあなたと話せるかな
名前を呼んでもらえるかな



あなた、ねぇ
怖いことなんてないんだから
毎日たっぷり夢で遇いましょう





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