「祈りのような夕暮れのアリア」/和 路流(Nago Mitill)
 
『私は、夜明けと共に、この大地へ、やって来て、
 この陽が沈めば、海へ帰らねばなりません。

 この空の下では、失うものばかり。
 大切なものは、何も見えない。

 ですが、愛しいあなた、私が、この地で出会った あなた、
 私は ずっと呼び続けるでしょう…
 愛しい人、愛しい人、愛しい人よと』


今、ようやく声は 歌い始めたのに
はや日は暮れて、夕闇がせまる。
今ここに 強く、誇り高く、響く歌は
次の瞬間には、過去になってしまう。

この日最後の太陽が、低く強く、輝く。
何一つ残せなかったとしても、かまわない。
この一瞬の旋律が、あな
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