花を食う/茉莉香
朝日の射す部屋に久々にお花を飾りました
真っ白な陶器の花瓶にたおやかな薄桃色と深紅
そっけない床にコトリと置くと
たちまち同化し花々は床に咲き乱れます
私は伝うものが涙だと
とまらないものは 涙だと知っています
頬を濡らし襟元に広がり大きな染みとなり
心の中に溜まっていきます
スィートピー 薔薇 私の恋
私は咲いた花をちぎって口に入れました
青くさく苦い花びらは
私の口の中で交じり合い何色になるのでしょうか
気がついてしまったのです
貴方の存在がもうとめられないほど
大きな存在になっていることを
逃れられない運命に逆らう気もない私は
途方に暮れて花を食べます
貴方が消えませんように
私の中の花が貴方にはずっと咲いて見えますように
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