葉音/木立 悟
 

光のなかで光を引きずる
あちこち折れた羽のように


増えては
増えては 軽くなる
はばたきに似た歩みの音


灰のにおい
羽のにおい
いつのまにかひとりの道
鈴の音
陽の音
通り過ぎる音の道


かきむしり かきむしりつづけても
怒りは消えてなくならない
何も信じられないうつろな者の頭上に
もの言えぬ言葉はそそがれてゆく
なぜ なぜと うつろな者は泣いているのに
頭上の手はそそぐことをやめない


誰も近寄らない言葉
誰からも見放された言葉
どんなにどんなに見捨てられても
言葉にならざるを得なかった言葉が
わたしの血や肉にふりそそぎ
ささやかな笑みを交わしている


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