棘のある指/
ミゼット
書架を巡って十代で命を絶った少女の著作にぶつかる度、
心の中で「勝った」と思う。
お前は負けたのだ。
感性は年を経る毎、磨耗して行く。
この頃は全て眠りに覆われてしまう。
その純度が最も高い時に死んで、
その身体が最も美しい頃に死んで、
死んで。
私はそれでも勝ったと思う。
何にかは知らない。
それでも、明確に勝ったと思う。
スミコ、アヤ、マユ、お前たちに勝ったと思う。
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