こどんのかげ/ねなぎ
 
難航し
現場では
当然のように
何者かが出ると

話が囁かれたのは
追い詰められて
逃げる場所を失くすように
目の前に広がる

からの逃避

神経
血管
内臓
の絡み合いの上に
筋肉や脂肪を勝手に
装飾して混ぜ
骨で塗り固めたように

負の陰気を撒かれて
じゅくじゅくと膿んだような
顔は
一様に
暗く
のっぺりと

見渡す
限りの

陸に
打ち上げられた
もがく


蜜柑の畑の向こうに
海が見えると
同じように
歌い出すのだが
その先の崖を
見てしまうと
誰も何も言えなくなってしまう




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