手をにぎってくれた人/多久蘭乱
 
君の左肩にもたれて
ウトウトと通り過ぎた時間
でも もうずっと前の話
ぐるぐると落ちてゆく重い渦の中
遠くに見えるのはため息をついて
手を上げる君のうしろ姿。

心の中
気もちわるい。
冷たくて キレイだった水に
牛乳をこぼしたみたい。

目がさめて
目クソだらけで
天井がくもってるみたい。

もう一度ぐるぐるとおちてゆく
不安な夢の中。

こんなに明るいのに
抜け出せない
なまぬるい おふとんの中。
あたたかい 日差しの中。

一人。


多久蘭乱/「手をにぎってくれた人」より全文




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