灼熱の泥を抱いて/砂木
 
爪の丸みさえ 
新しい希望のように

削った続きは 荒々しく
ひかれて こなごななのに

刃向かいきれない
小ささえ
隠し持てる 最大の武器にして 

地図のいらなくなった
なつかしい香りが誘う

まだ なつかないものばかり多いのに
瞳に 笑いかけて 
いいわけを聞かずに 指をさす

つられるふりで
呼びかけに応えよう

誰もいないから 私がいる

だから
誰かに 会える 私がいる



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