ショコラティエ/三条麗菜
超一流のショコラティエに
私を一粒のチョコレートにしてもらって
あなたへと贈ります
私の黒褐色は
独りで過ごさなければならなかった
いくつもの夜の色
自分自身に問い続けながら眠りにつき
その揺らめきは渦を巻き
かすかな模様になっています
幾度も噛んだ唇に
にじんだ血の色を混ぜて
わずかな赤みを帯びた
夜明けの見えない夜の色
なぜわたしは
こうなって
しまったのだろう
あなたになにも
つたわらないまま
つたえられないまま
いつまでここに
いるのだろう
だから私に含まれる苦味は
カカオよりも重くて
深いのです
でもそんな苦味を打ち
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