光を/こしごえ
 
で生きている
生きものは皆そうなのかもしれない
「わたしはここにいるわ」
空子(これは架空の呼び名であって
『死』といっても驚きはしない)
が呼びかけている
私はつかめそうもない空間を
手のひらに乗せた幼子であった
耳をくすぐる幻の光子であった
天秤のバランスが
はるかな水平線のように
湾曲しさざなみを歌う

交した相手は
遠くにつながっている
くぼみ続ける質量の
歪曲した笑みを浮かべる
もうひとりの私であっただろう
その後、『私』とは再び会えなかった
いまここに立っているのは
空子なんだ
『空』の腹部でふくらむ微動
それというのは 転回するわっか

無闇な性と結ばれた
目を見開いたララバイが 海原をわたっていく








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