光を/こしごえ
 
   光を

真昼の太陽を 目に映す
視界は暗くなり
ただ一点太陽だけが白く浮かびあがる
そこから
視線を外すと
しばし辺りは暗転して
浮遊する幻覚となってしまった
私は
みずからの影へと埋没してゆく

あれ
うすいまくでおおわれたさよならの核種
への距離を
(残像(が(緑の)羽となって透けて)
あれ
舞っているのかしら
午後からきらきらきらめくばかりで
うすい雲がさらさらささやくばかりで
あれ
身が重い

そんな簡単に産めるなんて
考えてはおりません
瞬くたびに明滅する胎動
初めて聞えてくるかしら
そんな殺生な
私は絶望することさえできない
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