ブーツをぬげば/
多久蘭乱
こえない声でさけんでも。
だれもいらないと何度心にちかっても。
夜ばかりの毎日がつづく。
気をとりなおしてテレビをつけても
だれかに似た人がすぐに心をひきずりもどす。
神様にお願いして少しだけ記憶をつまんでもってってほしい。
外へ出ても
何を見ても
かけ出しても
よっぱらっても
心から放れないシャッターを押したような瞬間。
こんな冷たい朝に
体温をわけてくれた人。
多久蘭乱/「ブーツをぬげば」より全文
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