苺愛歌/Rin K
君の誕生日、だとしても
ケーキの苺は譲れない
ぼくはこれでも、苺が好きだ
で、次に
ぼくのじいちゃんは船長だった
海賊船の
もう随分昔のことだけれど
なんて言ったら、笑う?
笑わない、のならば
君にだけ教えてあげよう
ぼくとじいちゃんと、苺の話
そのまえに、昨夜は怒ってごめん
君が寝ぼけて巻貝に食いついたこと
あの中には、いつまでも褪せない海があるから
ぼくとじいちゃんの、宝物だから
いいか、いっせー
じいちゃんたちは海賊だ
タカラモノにありつけるまで
ふたりだけの秘密だ
巻貝の奏でる、マリンブルーの音色に混じって
[次のページ]
戻る 編 削 Point(37)