そのときその場所に/草野春心
どこにあるのか
詩はどこにあるのか
死にかけの好々爺の曲がった背中か
とんでもない家のとんでもない場所に
落っこちた林檎の実の中？
詩はどこにあるのか
どこにあるのか
歌はどこにあるのか
皺くちゃの五線譜の上か
踊ったり叫んだりで大忙しの
女流シンガーのよがり声の果て？
歌はどこにあるのか
どこにあるのか
言葉はどこにあるのか
いまここで鉛の点と線に換わっているのがそれか
それともぼくの頭の中？
言葉はどこにあるのか
きみが笑うとき
ぼくはその理由を探す
きみが泣くとき ぼくは黙るだろう
そのとき その場所に
詩も歌も言葉も始まっているのだ
推敲すら不要な全き姿で
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