3度目の原爆/はじめ
く悲しんで 大破したコンクリートの壁の屋根に体を隠して 黒い雨や死の灰や他人の肉体を探し続けている影から身を守っていた
三日三晩 彼女は雨宿りをし続けた 誰も助けには来てくれなかった 一日中真っ暗で彼女はモノクロの映画を見ているようだった(実際に彼女はモノクロの映画を見たことは無かったが) ただ空腹と寒さと寂しさに耐えられず 泣き喚く毎日だった
しかし 次の日に彼女はこれまた奇跡的に国連軍の兵隊に助けられた この日は雲の切れ間から太陽が射し込んでたしかに存在していた東京都庁のある方角へ光が向けられていた 国連軍のジープでチョコレートを頬張りながら見た景色は 彼女にとって一生忘れられないものになったであろう
戻る 編 削 Point(2)