面影/
松本 卓也
雲の隙間
欠けた月
真円になり得ない
輝きを見る
駅のホームに過ぎる風
またしても面影を見つけて
一筋の雫が伝う
いつまで覚えているのか
どれだけ抱えていくのか
片隅に震えている影など
願望が生んだ歪でしかない
照らされた姿は
生気の無い過去を
無闇に美しく彩る
ここに在る筈の無い
もう見えることも無い
なのに
欠けた心は満たされず
笑顔のままの面影映す
ただ月ばかりが美しい
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