お題/13歳/茜井ことは
 

多分ポエムだろうなという単語を
鍵つきダイアリーに書き流すとき
胸が痛いのは
お月さまが
ちゃんと光っていてくれないから



あたしはキスをしたことがない



何のかんじょうもない
まっさらな気持ちが落としたダイヤを
眼からこぼしたら
家を出る日のパパがくれた
中は真っ暗な指輪入れに仕舞っておくの
するとダイヤは光る
隙間から覗き込むとき最も強く光る


血管に少し残ってしまった
涙でかすんだポエム片とか
虚構の恋なら百戦錬磨の唇とか
の、付着したダイヤが
近頃は毎夜
こんな風にロマンチックで鬱血しかけて



きっとあたしの進めなかった場所で
あなたは前を向いていたんだね



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