舞/木立 悟
自らを喰み赤子になる
自らを喰み赤子になる
終わりなく届かぬひとつの舞
くりかえすことなくくりかえす
くりかえすことなくくりかえす
ずっとそこにあるものだから
じっと抱いているものだから
家も 土も 変わりはてても
ずっとそこに舞っているから
舞いながら舞を見るような
分かれては集う火のような
放つ色すべてが舞うような
あんなにあんなにたくさんなのに
たくさんなのにひとつの
ひとつの舞
手にするものも
やさしいものも
表すほどに遠去かる
見えない燐 見えない陽
舞う指と舞う髪の軌跡を燃やし
赤子のかたちくりかえす
届かぬかたちくりかえす
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