冬の猫カフェ/Hantama/ibukijohn
それを街灯が照らしつけ
それぞれに新たな息吹を吹き込んでいた
時折 後ろから吹きつける冷たい風が
暖かい空気の中に切り込んできて
僕に 「この部屋は温かいのだ」 と教えてくれる
どうやらこのカフェはそうゆうシステムになっているようだ
暖かい事は当たり前ではなく非凡な事だと 僕に教えてくれるのだ
そんなこんなを感じながら
カウンターで原稿を書いていると
ライオンの様にゆったりとしたモーションで猫が近づいてきて僕を見上げた
「お前を食べちゃうぞ」
と その青いスカーフを首に巻いた猫は僕に微笑みかけ
また自分の居場所である温風ヒーターの前に寝そべった
微笑んだ僕と
寝そべった猫は
暖かいカフェで
同じ時間の中を
それぞれの楽しみ方で
それぞれの価値観の中で
〜平成十八年 冬の吉祥寺にて〜
written by ibukijohn
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