三人の女/なかがわひろか
 
【一女】


今昼の行い
良人の夢に
現れぬことを
ひたに願う

この行い
一瞬の産物なれど
世にもおそろしや快楽は
我の内をひた濡らす

嗚呼うつろな顔を見なさるな
我の啼き声に耳を澄ましなさるな

せめて詫びる
良人の夢で
我は抱かれんと

(「良人の夢に」)


【ニ女】


ねえ嘲笑ってくれるのは貴方だけなの
寂しそな
悲しそな
顔を嘲笑ってくれるのは

ねえ小首を傾げる姿が
滑稽だよ
そんな風に
嘲笑ってくれるのは

女は醜態を晒せど裸婦像の前に
ひざまずき罵られ

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