*掟破り*/知風
 
ってもいられないサマンサ
とうとうおてんばの本領発揮
飛び掛ってくる男たちを蹴り飛ばして
一直線にエィディーの元へ


邪魔な毛布を脱ぎ捨てると
エィディーにつかみかからんばかりの
薔薇姫たちの頭を飛び越えて
愛しい胸に一番に飛び込んだ!


あっけにとられた若者たち
やがて二人を囲む人垣
くやしがる髪振り乱した薔薇姫たちと
輪になって二人を祝福する獣と男たち

こんな愉快なことはないと
酔っ払いたちは大歓声
一方礼節に詳しいご婦人方たちは
恥知らずな娘だと渋い顔


二階の窓際の揺り椅子で
それを見ていたのは百歳過ぎの
ほおずき亭のママ・マァギィ・マァリー
彼女は満足げにため息をついた



   時代が変わるのさ
   時代が変わるのさ
   こうやって時代は
   幾度も生まれ変わるんだよ



ほおずき亭の最後の娘
サマンサとその想い人エィディー
ふたりは祝いと陰口と薔薇吹雪の中
今までで一番のめおとになりました

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