縁/渡邊永遠
赤ちゃんがお母さんのミルクの臭いをかぎ分けられるように
私たちのアンテナは
常に
大切な誰かさんに、知らず知らずのうちに
向かっていて
人込みの中では
探しているあなた以外は
みんな、気付けば同じ顔だし
騒音の中でも
探しているあなたの声以外は
鼓膜がピッ、と停止する
離れた場所にいても
同じ時間にアイスクリームが実は食べたかったりしたことも
同じ時間にメールを送信したりしていたことも
偶然なんかじゃなく
アンテナが
向かいあっていた証だったりする
縁なんてものは
求めあって繋がっていく
努力の証、みたいなものなのでしょう
戻る 編 削 Point(2)