温かく満ちた海へ/成澤 和樹
 
ぼくは遂に 翻ってしまう 眩しすぎて
かき分けて 手に入れたい 本当は
言い訳して 片足動かすのもメンドクサく 
遮った手の甲 やけに黒く思えた

不幸な人間だ この恵まれし者
眼に沁みる光浴びて 走っていけばいいのに

何万回と旅した 脳宇宙
一度も触れたことのない コトノハ

嗚呼 このココロはジェット機より早い
嗚呼 このカラダは千年樹のように動かない

弄んだ苦悩の中 ずっと眠っていたい
口笛は吹かない 思い出になるから でも

分からない間に 突っ走っていればいい
眼を閉じたまま闇雲に
理想と現実が徐々に重なって 君のほうへ

軽やかに走るんだ 

ぼくにとって本当の足 温かく満ちた海へ

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