ゆかりの雫(五)/
信天翁
寒冷前線が鄙びた丘の上でさまよっている
ゆかりの雫を垂らす
青磁いろにおめかししたはつはるの雲よ
乾いたひとみで見定めておくれ
昔 坂道を威勢よく駆け上がった
白馬のシュールなかげの濃さを
そして 潤んだまなこで見詰ておくれ
今 坂道をヨタヨタと下る
黒牛のデカダンスなかげの色合いを
(平成十八年一月一日)
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