雪虹のワヤン/たりぽん(大理 奔)
 
雪が来ないから だろうか
遠い対岸の君を思い出してしまう
風船のひもをつかむ かのように
手を繋ぎあった昼下がりのことも
雪虹を見た冷たい夕暮れも

   私の影は黒いよね
   青い光でも、赤い光でも
   ちかちかする街の明かりでも
   私の影は黒いよね

真冬の木漏れ陽のように
長い髪にからまる星空は旋律
瞳が見えないほど近くで
くちびるに隠されて
吐息の温度になる

   深海を住処にする魚だね
   浅瀬では体がはじけてしまう
   水面すら遠い境界線に水中の虹
   それでも影は黒いよねと

雪が近づくと いつも頭痛だ
私も気圏の底の小動
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