いのちのかなしみ/
小原あき
いつも嘆いていた
うつむいて
ただ、無気力に
ため息をついていた
生きることに一生懸命になれるいのちと
生きることはあたりまえのいのちと
どちらが価値のあることかなんて
どんな偉い科学者だって
見つけられないに違いない
湯槽で掴まれた手を
振りほどいて
身体を洗う
わたしは悪くない
悲しみを嘆きを洗い落とすかの如く
必死に身体を洗う
排水溝の奥
飢えたいのちの
開いた口が
赤くかさついて
見えた
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